不動産の一部に所有権がある共有持分のみの買取を希望する場合、他の所有者の承諾は必要なのでしょうか。
共有持分の所有権や、承諾が必要な事柄について紹介します。
不動産の共有持分の買取前に所有権についておさらい
共有持分とは、不動産を一人ではなく複数で所有する場合の、それぞれの所有権の権利の割合を差します。
そもそも共有する理由とは、購入時に夫婦や親子で共有したり、相続で親・兄弟姉妹と共有したりする事例がよく見られます。
特に相続は子から孫へ、など共有者がどんどん増えてしまい、遠方に住んでいて連絡も取れないなどの悩みにも繋がります。
共有持分がある場合、不動産の保存、使用は一人でも可能です。
保存とは壁紙の交換など家の現状維持のための修繕、使用とは住むことです。
共有持分権者の過半数の同意があれば可能なのが、不動産の利用、つまり短期的に賃貸借契約を結んだり解除したりすることです。
また、リフォーム・リノベーションといった改良も可能です。
ちなみに過半数とは人数の半分ではなく、持分割合で考えます。
とある不動産を5人で所有していて、そのうちAさんの共有持分が51%である場合、Aさんは単独で過半数を超えていますから、他の4人の承諾無しで利用・改良が可能です。
所有権を持つすべての人の同意が必要なのが、不動産の「処分」です。
他の所有者に与える影響が大きい、売却や抵当権の設定が処分にあたります。
不動産の共有持分の買取時に必要な所有者の承諾
不動産を売却する際には、所有者全員の承諾、かつ同席が必要で、同席できない場合は、直筆の署名と実印を押した委任状が必要です。
一人でも未承諾の方がいると、売却できませんから、所有者が多い場合は全員の意見を取りまとめるのが大変なこともあります。
それでも手放したいときには、共有持分だけを買い取ってもらうことが可能です。
他の所有者が同意すればその方に買い取ってもらってもよいのですが、不動産会社の中にも買い取ってくれる会社があります。
ただし、共有持分のみの売却は、通常の相場より安くなることを覚えておきましょう。
3000万円が相場で持分が30%である場合、買取相場は900万円にはなりません。
おおむね、2~5割減程度の500~700万円程度の買取になると考えておきましょう。
共有状態というのは、避けられる傾向にあるからです。
共有持分の買取の流れは、通常の不動産の買取と同じです。
ただし、他の所有者に対して買い取ってもらうことを事前に伝えておきましょう。
そもそも共有になった理由は相続時が多く、つまり共有者は親族です
他の共有者にとっては聞いたこともない不動産会社から話が来る、なんてことになるとトラブルになりかねないので、事前に話をしておくことをおすすめします。
まとめ
不動産を複数人で所有する際、個人の所有権が及ぶのが共有持分です。