不動産の売却を考える理由は人それぞれです。
例えば、何らかの理由で住宅ローンが支払えなくなってしまい、滞納せざるを得ない状況で売却を考えている方もいらっしゃるでしょう。
今回はそういった場合に行うと良いとされる「任意売却」についてご紹介します。
普通の売却との違いは何なのかを詳しく見ていきましょう。
任意売却ができるのはどんな時?
不動産を任意売却したいと思っても、特定の条件に当てはまっていない限り任意売却することはできません。
任意売却は普通の売却と異なる性質を持っているため、「こういう時に任意売却をするべき」と知った上で行うと良いですね。
それでは、どんな時に任意売却ができるのか見ていきましょう。
●住宅ローンの支払いが困難になった時
任意売却を行うべきケースとして一番に挙げられるのが、住宅ローンが支払えなくなった場合です。
会社の業績が落ちてしまったり、収入が減ることにより宅ローンが支払えなくなったり、その結果何ヶ月も滞納してしまっている方は世の中にたくさんいらっしゃるでしょう。
昨今のコロナ禍によりこのような状況になってしまった方は多く、住宅ローンを支払う意思があっても、現実的な状況を踏まえると「家を手放そう」と考える事も一案なのかもしれません。
ちなみに任意売却を行う際には6ヶ月以上の滞納期間が必要です。
コロナ禍に関係なく、怪我や病気で就労することが難しくなった場合や、転職に失敗した場合などでもこのようなケースに陥る可能性があります。
●差し押さえや自己破綻の状態である時
収入が減ってしまったことにより、日々生活するために借金を抱える方も少なくありません。
しかし、借金は一時的な応急処置にしかすぎないため、結局返済が滞ってしまって、差し押さえや自己破綻をしなければならなくなるケースも存在します。
特に自営業者などは会社を存続するために借金を抱えるケースが少なくないですが、借金の金額が大きければ大きいほど返済が困難になるのは当然ですね。
もし差し押さえや自己破産といった状況になってしまった場合も、任意売却を利用することが可能です。
ちなみに、任意売却と似た用語として「競売」というものがありますが、こちらは借金やローンの担保として不動産を設定していた場合、裁判所の指示により強制的に売却されてしまうというものです。
競売では一般的な相場の6割ほどで売却されてしまうので、経済的な損失が大きく、できるだけ競売にかけられる前に任意売却を行うべきでしょう。
任意売却にはどんなメリットとデメリットがある?
上記の状況に当てはまっている方は任意売却を行うことができるのですが、「本当に任意売却を行って大丈夫なのかな?」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
確かに任意売却を行うとなると大変な手続きが必要だったり、何かしらのマイナス面があるのではないかと不安になってしまいますよね。
初めて任意売却を行おうと検討している方は、ぜひメリットとデメリットを詳しく知った上で行うようにしてください。
●任意売却を行うメリット
差し押さえや自己破産といった厳しい状況にある方は、その状態が続くと不動産を強制的に競売にかけられてしまう可能性があります。
もちろん不動産が競売にかけられてしまうと経済的な損失を受けるほか、強制力が働くため、否応なしに自分の不動産を手放さなければならなくなります。
その点、任意売却は自分の意思を無視されることなく売却をすることができ、上手くいけば相場と同等の価格での売却が可能です。
仲介や不動産会社が買取を行う、通常の売買と同じような方法や価格で売却をすることができるので、任意売却である事実を周囲に知られる可能性も低いです。
さらに、仲介で売却する場合は仲介手数料を売却額から差し引くことが可能であったり、ローン残債を分割で返済することができるなど、債務者に負担のないように売却することが可能なのも嬉しいポイントです。
●任意売却を行うデメリット
一見、メリットを多く感じられる任意売却ですが、住宅ローンを滞納したという事実がある以上、個人信用情報には傷がつき、その後の生活に影響を及ぼす可能性があります。
そもそも任意売却を行う要件が揃っているということは、その時点でブラックリストに載ってしまっている可能性があります。
任意売却を行うことで信用情報に影響を与える訳ではなく、任意売却を行う要件が揃っていることが、そもそも良くないことだと覚えておきましょう。
手数料や売却時にかかる費用、ローン残債を返済していくと、売却額が利益にならないのも大きなデメリットです。
また、長い期間買主が見つからない場合は、必然的に競売にかけられてしまう可能性もありますので、早めに行動することが大切です。
まとめ
任意売却と聞くと難しそうと感じられるかもしれませんが、生活していくために家を手放すことは一つの選択肢として覚えておいた方が良いでしょう。
ただし、早めに任意売却を行わないと競売にかけられ、さらに状況が悪化する可能性もありますので、正しい知識を得て、信用できる不動産会社を探し出してくださいね。